決済システムの作り方とは?構築方法・接続方式・開発時の注意点を解説

ECサイトやWebサービスの運営において、決済システムの導入は売上に直結する重要な要素です。近年はキャッシュレス決済の普及により、クレジットカードやQRコード決済、電子マネーなど多様な決済手段への対応が求められています。

本記事では、決済システムの基本的な仕組みから、構築方法の種類、接続方式の選び方、開発時に押さえるべきセキュリティ対策まで体系的に解説します。 自社に最適な決済システム構築の参考にしてください。

決済システムとは

決済システムとは、商品やサービスの購入時に代金の支払いをインターネット上で完結させる仕組みのことです。ECサイトやWebサービスにおいて、消費者がスムーズに支払いをおこない、事業者が確実に代金を回収するための基盤となるシステムといえます。

オンライン決済の基本的な流れは、まず消費者がECサイトで商品を購入し、クレジットカードなどの決済情報を入力します。入力された情報は決済代行会社を経由してカード会社や金融機関に送信され、与信審査がおこなわれ、審査が承認されると決済が完了し、後日事業者の口座に売上金が入金される仕組みです。

一般的にEC事業者は、カード会社や金融機関と直接契約するのではなく、決済代行会社を利用します。決済代行会社を活用することで、複数の決済手段を一括で導入できるだけでなく、審査手続きの簡略化、入金管理の一元化、セキュリティ対策の負担軽減といったメリットが得られます。

決済システムで対応すべき決済方法の種類

消費者が希望する決済方法が用意されていない場合、購入を諦めて離脱してしまうケースも少なくありません。 カゴ落ち防止や顧客満足度向上のためにも、主要な決済手段への対応は不可欠といえます。

ここでは、決済システムで対応を検討すべき主要な決済方法を紹介します。

  • クレジットカード決済
  • QRコード決済(スマホ決済)
  • 電子マネー決済
  • コンビニ決済・銀行振込
  • キャリア決済
  • 後払い決済

クレジットカード決済

クレジットカード決済は、オンライン決済において最も利用率の高い決済方法です。総務省の調査によると、オンライン決済の約79.8%がクレジットカードでおこなわれており、EC事業者にとって導入は必須といえます。(参考:令和6年 通信利用動向調査報告書 (世帯編) 総務省 情報流通行政局

対応すべき主要ブランドは、VISA、Mastercard、JCB、American Express、Diners Clubの5大国際ブランドでしょう。これらのブランドに対応することで、国内外の幅広い顧客層に対応可能です。

クレジットカード決済のメリットは、即時決済により入金の確実性が高い点や、高額商品の購入にも対応できる点にあります。一方で、チャージバック(不正利用時の売上取り消し)のリスクがあるため、3Dセキュアなどの本人認証サービスを併用するなどし、安全性を確保しましょう。

QRコード決済(スマホ決済)

QRコード決済は、PayPay、楽天ペイ、d払い、LINE Payなど、スマートフォンを活用した決済手段です。近年急速に普及が進んでおり、特に若年層やキャッシュレス決済を好むユーザーへのアプローチに効果的な決済方法となっています。

QRコード決済の利用者は増加傾向にあり、クレジットカードを持たない層や、カード情報の入力に抵抗がある層の取り込みにも有効です。各サービスが実施するポイント還元キャンペーンによって、まとめ買いや新規顧客の獲得につながるケースも報告されています。

導入にあたっては、ターゲット層がよく利用する決済サービスを優先的に選定することが重要です。複数のQRコード決済を一括導入できる決済代行サービスを活用すれば、導入・運用の手間を軽減できます。

電子マネー・キャリア決済・その他

クレジットカードやQRコード決済以外にも、ターゲット層に応じて検討すべき決済手段があります。

電子マネー決済は、交通系電子マネー(Suica、PASMOなど)や流通系電子マネー(楽天Edy、nanacoなど)を利用した決済方法です。少額決済に適しており、実店舗とECサイトを併用する事業者には有効な選択肢となります。

キャリア決済は、携帯電話料金と合算して支払う決済方法です。クレジットカードを持たない10代〜20代の若年層へのアプローチに効果的であり、デジタルコンテンツやサブスクリプションサービスとの相性も良好です。

コンビニ決済・銀行振込は、クレジットカードを持たない層や、オンライン決済に不安を感じるシニア層に好まれる傾向があります。後払い決済(Paidy、NP後払いなど)は、商品到着後に支払いができるため、初めて利用するECサイトでの購入ハードルを下げる効果が期待できます。

決済システムの作り方【3つの構築方法】

決済システムを構築する方法は、主に3つのアプローチがあります。それぞれ開発コスト、カスタマイズ性、導入スピードが異なるため、自社の技術リソースや予算に応じて最適な方法を選択する必要があります。

ここでは、決済システムの代表的な構築方法を3つ解説します。

  • ASP・SaaS型サービスの利用
  • ECパッケージ・クラウドECの活用
  • フルスクラッチ開発(API組み込み)

ASP・SaaS型サービスの利用

ASP・SaaS型サービスは、BASE、Shopify、STORESなどのプラットフォームを利用し、ECサイトと決済システムをまとめて構築する方法です。専門的な開発知識がなくても、テンプレートを活用して短期間でネットショップを開設できる点が最大の特徴です。

導入コストは非常に低く、初期費用無料で始められるサービスも多く存在します。決済機能は標準搭載されているため、別途決済代行会社との契約や開発が不要なケースがほとんどです。また、セキュリティ対策やシステムのアップデートはサービス提供会社がおこなうため、運用負担も軽減されます。

一方で、カスタマイズ性には制限があり、独自の業務フローや決済フローを実現したい場合、対応できないケースも少なくありません。年商数千万円規模までの小規模ECサイトや、まずはスモールスタートで事業を始めたい場合に適した選択肢といえます。

ECパッケージ・クラウドECの活用

ECパッケージ・クラウドECは、EC-CUBEやebisumart、W2 Unifiedなどのパッケージソフトやクラウドサービスを利用する方法です。一定のカスタマイズ性を確保しつつ、フルスクラッチ開発ほどの工数やコストをかけずに決済システムを構築できるバランスの取れた選択肢となっています。

ECパッケージには、ショッピングカート機能や決済機能、在庫管理機能など、EC運営に必要な機能が標準で備わっています。決済代行会社との連携プラグインも豊富に提供されており、複数の決済手段を比較的容易に導入できる点がメリットです。

初期費用は数十万円〜500万円程度、月額費用は数万円〜10万円程度が相場とされています。年商1億円〜50億円規模の中規模ECサイトや、ある程度のカスタマイズ要件がある事業者に適しています。

フルスクラッチ開発(API組み込み)

フルスクラッチ開発は、決済代行会社が提供するAPIを自社システムに組み込み、完全にカスタマイズされた決済システムを構築する方法です。決済画面のデザインから決済フロー、他システムとの連携まで、すべてを自社の要件に合わせて設計・開発できる点が最大の強みとなります。

Stripe、PAY.JP、SBペイメントサービスなどの決済代行会社が提供するAPIを利用することで、クレジットカード決済をはじめとする多様な決済手段を自社システムに組み込めます。継続課金やサブスクリプションなど、複雑な決済ロジックにも柔軟に対応可能です。

一方で、開発工数とコストは最も高くなります。初期費用は数千万円規模、開発期間も年単位で必要になるケースがあります。また、決済システムはセキュリティ要件が厳しいため、PCI DSSへの準拠やトランザクション制御など、高度な技術力を持つエンジニアの確保が不可欠です。

決済システムの接続方式と選び方

決済システムをECサイトに組み込む際には、接続方式の選択が重要です。接続方式によって、開発負荷、セキュリティレベル、ユーザー体験が大きく異なります。

ここでは、代表的な4つの接続方式の特徴と選び方を解説します。

  • リンク(画面遷移)型
  • トークン型
  • API型
  • メールリンク型

リンク(画面遷移)型

リンク型は、決済時に決済代行会社が提供する決済ページに画面遷移し、そこで決済処理をおこなう接続方式です。自社サイト側でクレジットカード情報を一切扱わないため、セキュリティ面で最も安心感のある方式といえます。

開発負荷は4つの接続方式の中で最も低く、ECサイト側の大規模な改修は不要です。決済代行会社のセキュリティ基盤を利用するため、PCI DSS準拠の負担もありません。そのため、導入コストを抑えつつ、短期間で決済機能を実装したい事業者に適しています。

一方で、決済時に外部サイトへ遷移するため、ユーザー体験に影響が出る可能性があります。画面遷移の途中で離脱が発生するリスクがある点は考慮が必要です。

トークン型

トークン型は、JavaScriptプログラムを自社サイトに組み込み、カード情報をトークンに置き換えて決済処理をおこなう接続方式です。自社サイト内で決済フローが完結するため、リンク型よりもスムーズなユーザー体験を提供できます。

カード情報はトークン化されて決済代行会社に送信されるため、自社サーバーでカード情報を保持することはありません。これにより、セキュリティを確保しながら、自社サイトのデザインに合わせた決済画面を構築できます。

開発難易度はリンク型よりも高くなりますが、API型ほどの技術力は必要ありません。

API型

API型は、決済代行会社が提供するAPIを自社システムに直接組み込み、決済処理をおこなう接続方式です。自社サイト内で決済フローを完全にカスタマイズでき、独自のデザインや業務フローに対応できる点が最大の特徴となります。

自社でSSL対応サーバーを構築し、顧客から取得した決済情報を決済代行会社に送信する仕組みのため、画面遷移数を最小限に抑えられます。大量の注文を処理する大規模ECサイトや、複雑な決済ロジックを実装したい場合に最適な選択肢です。

ただし、開発には高度な技術力が求められるうえ、セキュリティ対策も自社の責任範囲が大きくなるため、十分な体制構築が不可欠です。

メールリンク型

メールリンク型は、顧客にメールやSMSで決済用URLを送信し、そのリンク先で決済をおこなう接続方式です。既存のECサイトやシステムに大きな変更を加えることなく、決済機能を追加できる点が特徴となります。

決済用URLは決済代行会社から発行され、顧客はリンク先の決済ページでカード情報を入力して支払いを完了します。ECサイト側にショッピングカート機能がない場合や、電話注文・FAX注文など非オンラインの注文にも対応できる柔軟性があります。

BtoB取引における請求や、イベントの事前決済、予約システムとの連携など、特定の用途に適した接続方式です。ただし、顧客がメールを確認してからリンクをクリックする手間があるため、即時性が求められる通常のEC販売には向いていないケースもあります。

決済システム開発で押さえるべきセキュリティ対策

決済システムは金銭に関わる重要なシステムであり、セキュリティ対策は最優先事項です。カード情報の漏洩や不正利用が発生すれば、企業の信用失墜や法的責任につながる可能性があります。

ここでは、決済システム開発において必須となるセキュリティ対策を4つ解説します。

  • PCI DSSへの準拠
  • カード情報の非保持化
  • トークン化・暗号化の実装
  • 不正検知・3Dセキュア対応

PCI DSSへの準拠

PCI DSS(Payment Card Industry Data Security Standard)は、クレジットカード情報を安全に取り扱うための国際セキュリティ基準です。VISA、Mastercard、JCB、American Express、Discoverの国際カードブランド5社が共同で策定し、12要件・約400項目の厳格な基準で構成されています。

カード情報を保存、処理、伝送するすべての事業者が準拠対象となり、準拠していない場合、カード会社からの制裁金や、万が一情報漏洩が発生した際の損害賠償責任が発生するリスクがあります。

ただし、自社でPCI DSSに準拠するには膨大なコストと時間がかかるため、多くのEC事業者はカード情報の非保持化を選択しています。

カード情報の非保持化

カード情報の非保持化とは、EC事業者が自社システムでクレジットカード情報を保存、処理、通過させない仕組みのことです。2018年に施行された改正割賦販売法により、EC事業者にはPCI DSS準拠またはカード情報の非保持化が義務付けられています。

非保持化を実現する方法として、決済代行会社のサービスを活用するのが一般的です。リンク型やトークン型の接続方式を採用することで、カード情報は決済代行会社のシステム上で処理され、自社サーバーを経由することがなくなります。

トークン化・暗号化の実装

トークン化は、クレジットカード番号などの機密情報を、意味を持たないランダムな文字列(トークン)に置き換える技術です。万が一トークンが漏洩しても、元のカード情報を復元することはできないため、情報漏洩時のリスクを最小化できます。

トークン型接続方式を採用すると、顧客が入力したカード情報はJavaScriptによって即座にトークン化され、決済代行会社に送信されます。自社サーバーには元のカード情報が到達しないため、非保持化とセキュリティ強化を同時に実現できます。

不正検知・3Dセキュア対応

3Dセキュア2.0は、クレジットカード決済時に本人認証をおこなうセキュリティ技術です。2025年3月末より、EC事業者には3Dセキュア2.0の導入が義務化されており、対応は必須となっています。

3Dセキュア2.0では、カード発行会社がリスクベース認証をおこない、不正利用の疑いがある取引のみワンタイムパスワードや生体認証による追加認証を求めます。これにより、正規の顧客は追加認証なしでスムーズに決済でき、不正利用のリスクを低減できます。

決済システム開発を外注する際のポイント

決済システムの開発は、セキュリティ要件や業務要件を踏まえた高度な設計が求められます。社内にリソースや専門知識が不足している場合、開発会社への外注を検討することも有効な選択肢といえます。

ここでは、決済システム開発を外注する際に確認すべきポイントを3つ解説します。

  • 決済システム開発の実績・ノウハウ
  • セキュリティ体制の確認
  • 保守運用・サポート体制

決済システム開発の実績・ノウハウ

決済システムは、一般的なWebアプリケーション開発とは異なる専門知識が求められる領域です。決済代行会社のAPI仕様の理解、トランザクション制御、エラーハンドリング、二重決済防止など、決済特有の考慮事項を熟知したパートナーを選ぶことが重要となります。

外注先を選定する際は、過去の決済システム開発実績を具体的に確認しましょう。どの決済代行会社のAPIを扱った経験があるか、どのような業種・規模のECサイトで導入実績があるかを把握することで、自社の要件に対応できるかを判断できます。

また、決済システムは障害発生時の影響が大きいため、トラブル対応の経験も重要な評価ポイントです。決済エラー発生時のリカバリー方法や、カード会社との連携経験なども確認しておくと安心です。

セキュリティ体制の確認

決済システムは金銭や個人情報を扱うため、開発会社のセキュリティ体制は特に重要な確認ポイントです。PCI DSS準拠、ISMS認証(ISO27001)、プライバシーマークなど、セキュリティに関する認証取得状況を事前に確認することをおすすめします。

開発プロセスにおけるセキュリティ対策も重要です。ソースコードのセキュリティレビュー、脆弱性診断の実施、開発環境と本番環境の分離など、具体的な対策内容を確認しましょう。

また、開発会社の従業員に対するセキュリティ教育の実施状況や、情報の取り扱いルールなども確認ポイントとなります。機密情報へのアクセス権限管理や、データの暗号化対応なども含めて総合的に評価することが求められます。

保守運用・サポート体制

決済システムは、24時間365日の安定稼働が求められるケースが多いシステムです。納品後の保守運用体制、障害発生時の対応フロー、セキュリティアップデートへの対応など、継続的なサポート体制を確認することが不可欠となります。

具体的には、障害検知の仕組み、エスカレーションフロー、復旧目標時間(RTO)などを事前に確認しましょう。夜間や休日の対応可否、緊急時の連絡体制も重要なポイントです。

また、決済代行会社のAPI仕様変更や、法改正への対応も発生します。3Dセキュア2.0の導入義務化のように、セキュリティ要件は年々厳格化しています。継続的なバージョンアップ対応や、法令改正への追随が可能な体制を持つパートナーを選ぶことで、長期的な安心感を得られます。

まとめ

決済システムの構築方法は、ASP・SaaS型サービスの利用、ECパッケージの活用、フルスクラッチ開発の3つに大別されます。自社の事業規模、技術リソース、カスタマイズ要件に応じて最適な方法を選択することが重要です。

また、決済システムは金銭を扱う以上、PCI DSS準拠やカード情報の非保持化など、セキュリティ対策が必須であり、接続方式の選択も、開発負荷とユーザー体験のバランスを考慮して決定する必要があります。

社内に専門知識やリソースが不足している場合は、決済システム開発の実績を持つ開発会社への相談を検討してみてはいかがでしょうか。

外注先を選ぶ際は実績やノウハウをしっかり確認したうえで、信頼できる開発会社を選択しましょう。

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