オフショア開発には多くのメリットがありますが、成功にはいくつかの課題も伴います。
特に失敗の原因として挙げられる要素を把握し、対策を講じることが重要です。
本コラムでは、失敗につながるポイントについて解説し、オフショア立ち上げ方法のヒントをお届けします。
1.コミュニケーションコストによる工数増加
多くの企業がオフショア開発を利用する際に気にされる点が、コミュニケーションコストです。言語や文化の違いにより、意図が正確に伝わらなかったり、プロジェクトの進行に関する確認作業が増加したりすることがあります。このようなコミュニケーション不足から、打ち合わせや資料作成の頻度が増し、結果として工数の増加につながることが少なくありません。言語や文化の違いが障害とならないよう、プロジェクト管理ツールの利用や日次報告などを行い、コミュニケーションの頻度を高めることがポイントです。
2.オフショアベンダーに丸投げ
オフショア開発では、指示が正確に伝わらないことで、認識のズレが生じることがあります。何故なら開発を行う上でプログラマーは開発業務が出来るものの現場の実運用や業務プロセスの概念自体を知らない場合があります。日本の企業が求める詳細な要件や仕様を正確に理解しないまま開発が進むと、完成後の品質や成果物に影響が出る可能性があります。例えば、「細部のこだわり」や「暗黙の了解」のようなニュアンスを伝えるのが難しく、日本語での会話が出来ていたとしても理解するうえでの認識のズレが起きて結果的に修正や再開発が必要になり、手戻りが発生する可能性があります。
3.進捗管理不足による納期遅延
日本では納期厳守が強く求められますが、ベトナムの開発チームと協力する中で、要件や仕様が明確に定義されていない場合、度重なる確認作業が発生し、プロジェクトが遅延することがあります。例えば、初期段階で定義されていなかった仕様の追加や、不明確な指示が原因でスケジュールが押し、結果的に納期に間に合わないケースが発生しやすいのです。
また、文化的な違いから、残業や突発的な対応を行い納期厳守する文化が日本と比べて浸透していないため積極的に行わない傾向もあります。
予定外の対応や作業が発生した場合には納期遅延のリスクが増します。
4.属人化による離職時のリスク
日本とベトナムのIT業界における離職率には明確な違いがあります。ベトナムのIT業界は競争が激しく、技術者の需要が急増しているため、離職率が高い傾向にあります。
また、従業員が経営層に自らの給料交渉を行うのが一般的にあります。給与の交渉の末条件に合わない場合は退職をしてより条件の良い会社に転職することはよくみられることです。
一方、日本のIT業界の離職率はベトナムよりも低いです。これは、伝統的に日本の企業文化が重視する「安定志向」や従業員の「忠誠心」の影響が大きいとされています。
終身雇用の文化の名残が残っている影響もあるかもしれません。
ベトナムのオフショア開発を成功させるには、リスクを理解し適切に対応することが必要です。これらの課題を解消することで、効率的で効果的な開発を実現できます。